２車線十字路網の交通

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２車線十字路網における車の流れを２次元セルオートマトンモデルを用いて調べる． 交差点では，東行き西行きの２車線道路と南行き北行き２車線道路が交わっているとする．
モデル：対象の地域を nxn 個のセルから成る正方格子で表す． n は適当な正整数．セルの状態とそれを表す記号，画像での配色は次の通り．

セ ル の 状 態記 号画 像
道路上で車が占めるセル1
道路上で空きのセル0
道路以外のセルb

２車線十字路網における車の配置は，左に例示すような画像で表される． 東西道路と南北道路の本数および道路間の間隔は入力パラメータとして任意に与えられる．

状態遷移のルール（交通ルール)は種々考えられるが， ここでは次のルールを採用してみる． 交差点で競合が起こったときの優先順位をつけるために，車の記号を 1 からリスト {1, r}に変える． ここで，r は [ 0, 1 ) の一様ランダム変数であり，初期に各車に与える．
[ 1 ]　初期状態　：　 東西南北４方向の道路に占める車の割合をそれぞれ指定して，それぞれの道路上に ランダムに 0 または {1, r} を配置する．

[ 2 ]　状態遷移 ： Moore近傍を使い，周期的境界条件を採用． ８つの近傍セル の状態に依存して， 着目セル の次の時間ステップでの状態が決まる．

状態遷移のルール      各セルの状態を   ：車のあるセル    ：空きのセル 　 ：車があっても空きであってもどちらでもよいセル  ：道路以外のセル  で表す．

[ 3 ]　車の流れの実現　：　更新された車の配置状態に同じルールを適用して次の１時間ステップ 後の車の配置が決まる．  この過程を繰り返して車の流れが実現される．
 
アニメーションとグラフ

[ 1 ]  車の道路占有率を変えたときの車の流れをアニメーションとグラフで示す．
♣ 左の各画像上にマウスポインタを置くとアニメーションが始まる．はずすと初期画像にもどる．
[1-1] 初期状態 ： 東西南北いずれの道路上にも車が 30% 占めているとして， ランダムに 0, {1, r} を配置．q=0.5
ある時間ステップでの東行き車の局所平均速度とは，その時間ステップで東に 進む車の台数をその時間ステップで東行き道路上の車の台数で割ったものである． 西，南，北行きについても同様に定義する．
[1-2] 初期状態 ： 東西南北いずれの道路上にも車が 55% 占めているとして， ランダムに 0, {1, r} を配置．q=0.5
車が混んでくると，交差点に入るときに東西方向を優先した効果が現れてくる．
[ 2 ]  車の道路占有率に対して平均速度と平均交通量がどのように変わるかをグラフで示す．
ここでの平均速度は局所平均速度の長時間平均である． 平均交通量とは，道路のある定まった位置を単位時間当たりに通過する車の台数（時間ステップ t の間に通過する 車の台数を t で割った値)である．それらを車の道路占有率（車の密度）の関数としてグラフに描く． ゆらぎを無視すると，定義により平均交通量は(平均速度) x (道路占有率)に等しい．